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結核について

世界の結核

概 況

 

結核は、2014年では960万人が発病し、150万人が死亡しています。感染症としては、HIV/エイズに次ぐ死因の2番目です。 世界中で発症していますが、新しく結核を発症した患者さんの56%が東南アジアと西太平洋地域で発症し、アフリカがこれに次いでいます。しかし人口あたりの結核患者さんの発生(罹患率)、世界では人口100,000人あたり126なのに対してアフリカでは280にも達します。

2013年では、患者の約80%が22か国に集中して発生しています。いくつかの国では着実に結核は減少しています。例えば22ヶ国のうち中国とブラジルはこの20年間で着実に結核を減らし、カンボジアではこの10年で50%も結核罹患率は減少しています。しかし全般的には減り方は非常にゆっくりとしたペースです。

 

TB FACT

 

・結核は空気感染する病気で、単独の病原体による感染症としてはHIV/エイズに次ぐ死因の2番目
・2014年、約960万人が結核に罹り、150万人が死亡した。
・結核による死亡の95%以上は、低・中所得国で発生し、15歳~44歳の女性の死因のトップ5に入る。
・2014年、推定100万人の子供が結核に罹り、14万人が死亡した。
・結核は、HIV陽性の人々の主な死因で、HIV関連の死因の1/3を占める。
・2014年、推定480万人が多剤耐性結核と報告されている。
・ミレニアム開発目標は達成の見込みではあるが、減少率は非常に低い
・結核による死亡は、1990年から2015年の間で47%減少した。
・2000年から2014年の間で、推定4300万人の命が、結核の診断と治療により救われた。

 

WHO Tuberculosis

WHO Global TB Report

 

 

◆WHO TB Fact 2014
 日本語TB Fact
 

 

課 題

 

◆多剤耐性結核(MDR-TB)

 

多剤耐性結核とは結核治療の立役者であるイソニアジドとリファンピシンという2つの薬の両方に抵抗性のある菌で起こる、文字通り薬の効かない結核のことで、2013年では、世界中では結核発症数全体の5%が多剤耐性結核、すなわち48万人が多剤耐性結核と推測され、21万人が死亡。さらに多くの薬に耐性となった「超多剤耐性結核」は、100ヶ国で報告され、多剤耐性結核患者さんのうち9%が超多剤耐性結核と推測されています。

 

 

薬剤耐性結核の分類: 

●多剤耐性結核(Multi-Drug Resistant Tuberculosis;MDR-TB)
 第1選択薬であるイソニアジドとリファンピシンの2剤に対して抵抗性を持っている結核

 

●超多剤耐性結核(Extensively Drug-Resistant Tuberculosis;XDR-TB)

 上記2剤に加え、フルオロキノロン系製剤に耐性を持ち、かつ注射剤であるアミカシン、カナマイシン、

 カプレオマイシン(現在は国内販売中止)の3剤のうち、少なくとも1剤に耐性を持つ結核

 

●極度多剤耐性結核(Extremely Drug-Resistant Tuberculosis;XXDR-TB)
 全ての薬剤に耐性を持つ結核

 

多剤耐性結核になる主な原因:
・不規則な薬の服用(完治するまでに飲んだり、やめたりと中途半端に薬の服用を行う)
・薬剤副作用(副作用が原因で薬を使用できなくなってしまう)
・不適切処方(診断のミス等によって、きちんと薬が処方されなかった)
・耐性菌感染(直接、薬剤耐性結核に感染する)

 

MULTIDRUG-RESISTANT TUBERCULOSIS(MDR-TB)

 

 

日本発の多剤耐性肺結核の薬剤:
日本において約40年ぶりの抗結核薬の新薬「デルティバ®」が、日本初の多剤耐性肺結核の適応で2014年に日本で承認取得しました。この大塚製薬が創製した「デルティバ®」は、多剤耐性結核の治療薬として世界中で注目されています。

 

大塚製薬

 

 

◆HIVエイズとの重複感染

HIV感染者の少なくとも1/3は、結核に感染していると言われています。HIV感染者は、HIVに感染していない人々に比べ20~30倍も結核を発病する危険性が高くなります。

HIV/エイズと結核は、それぞれの進行を早め、死に至らせる組み合わせで、HIV感染者の死因の約1/3は結核にあります。2014年の結核発病数約960万のうち、120万人がHIV感染者であり、その74%はアフリカに居住しています。

HIV/エイズと結核の重複感染の問題は、特に深刻で、それぞれの病気の対策が協働することが必要とされています。

参考:WHO Tuberculosis

 

HIV-Associated Tuberculosis

TWO DISEASES, ONE FIGHT The TB-HIV Co-infection



◆糖尿病と結核

 

世界的に見て、結核患者の10%は糖尿病と関連があるとされ、また糖尿病患者は、糖尿病でない人々と比べて2-3倍結核になるリスクがあるといわれています。糖尿病は、世界で約3億5千万人が罹患し、2030年までに50%増加すると予測されていますが、糖尿病と感染症(とくに結核)との連鎖関係は、一般にはあまり認識されていません。 2011年、WHOは、糖尿病と結核の併発の相互の悪影響連鎖を重大な課題と認識し、相互の質の高いケアと予防を妨げている保健システムの障壁を取り除き、対策を強化する為に、国際結核・肺疾患連合(The Union)と、糖尿病と結核のケアとコントロールの為の協働フレームワークを発表しています。

 

◆WHO TB DB
 

 

◆サイパンスタンダード
 


◆協働フレームワーク
 

 

◆「糖尿病と結核」 森 亨
 

 


◆喫煙と結核

 

 

・喫煙は結核の「発病」のリスクを高める。
 喫煙者の発病リスクは非喫煙者の2.33 倍(95%信頼区間1.97 - 2.75).
・喫煙は結核の「感染」のリスクも高める。
 喫煙者の非喫煙者に比して1.73 倍(95%信頼区間1.46 - 2.04)結核に感染する.
・受動喫煙(他人のタバコの煙)が結核の発病のリスクを高める。
 喫煙者の妻は非喫煙者の妻(ともに自身は非喫煙)に比して1.70 倍(95%信頼区間1.04 - 2.80)結核を発病する.

 (ホンコン女性の結核の44%が受動喫煙による)
・結核は結核患者の死亡率を高める。
 喫煙する結核患者はしない患者の1.60 倍(95%信頼区間1.31 – 1.95)死亡する.
・喫煙する結核患者の病状は非喫煙患者よりも重症になりやすい。
 喫煙する結核患者はしない患者よりも症状が強い、粟粒結核・空洞性結核が多い.

 

◆世界のたばこ対策の新しい展開

 

 
 

ミレニアム開発目標(MDGs)とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

 

◆結核におけるミレニアム開発目標達成状況

 

ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)は、開発分野における国際社会共通の目標で、極度の貧困と飢餓の撲滅など、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げています。「結核」は目標6にあたり。「2015年までに感染者の拡大を食い止め、その後発生率を減少させる。」という目標が設定されています。

 

<達成の見込み>
・MDGs達成に向けて、結核罹患率はこの10年間低下しており、ミレニアム開発目標をクリアした。

 結核罹患率はまたWHOの6地域で減少している。しかし減少率は依然として低い(年間2%)。
・1990年以来、死亡率は45%減少している。2015年までに死亡率50%削減という目標に対しても達成が見込まれている。
・アメリカ、西太平洋地域では、罹患率、有病率、死亡率に対する2015年までの目標をすでに達成している。
・世界の結核の80%を占める22の高結核負担国のうち、7カ国ではすでに罹患率、有病率、死亡率の目標を達成している。

 2015年までには、加えて4カ国が達成する見込み。

 

<達成の見込みが少ない>
・1990年から2012年で、有病率は37%減少した。2015年までに有病率を50%削減するという目標には達成は期待できない。
・アフリカ地域とヨーロッパ地域では、現時点では、死亡率と有病率の目標には達成は期待できない。
・結核高負担国22カ国のうち、11カ国が罹患率、有病率、死亡率の目標達成に向けて計画どおりに進捗していない。

 それは、資源不足や紛争、内政不安やHIVの蔓延が影響をしている。
・検査へのアクセスや薬剤耐性結核に対する治療は、目標達成には遠く及ばない。世界的にみて、

 薬剤耐性結核が発生している国々のほとんどでは、2012年に薬剤耐性結核の患者の約25%以下しか発見されていない。
・結核患者全員に対してのHIVテストの実施と、HIV陽性者全員に対してのART提供という世界目標は達成されていない。

参考: WHO Global Tuberculosis Report2013 TB FACT

 


◆ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と結核対策

 

ポストMDGsの世界の中で、地球上の全ての人が基礎的保健医療サービスを受けられること (ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:UHC) の重要性が高まっています。
MDGsでは、保健に光が当てられ感染症対策にもドナーから多額の資金が集まり、疾病別に成果を上げてきましたが、環境問題等に焦点をおくSDGs(持続可能な開発目標)と統合される2015年以降の世界では、保健は基本的に自国の努力によって解決すべき問題で、政策と保健システムの強化によってUHCを達成することが目標となっています。
UHCを目指した保健システムの強化の要素の1つとして、疾患別アプローチをプリマリヘルスケアへの融合しようという主張があり、今まで個別疾病対策としてDOTS(直接服薬確認療法)などにより成果をあげてきた結核対策も転換期を迎えています。
1960年代にも同様な国際的な動きがありましたが、結核対策は、様々なレベルにおいて健康問題全体に応用できる可能性があります。例えば、結核対策の特徴の1つであるコミュニティへのアプローチ方法、患者発見方法、薬の調達方法、薬を飲むことの管理(DOTS)などは保健システムの改善に活かしていくことができます。

 

◆国民皆保険に結核対策が果たした役割
 

 

◆結核対策の推進がいかにユニバーサル・ヘルス・カバレッジに貢献しうるか
 

 

 
 
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